Firefox 142 for developers
このページでは、開発者に影響する Firefox 142 の変更点をまとめています。 Firefox 142 は、米国時間 2025 年 8 月 19 日 にリリースされました。
ウェブ開発者向けの変更点一覧
>HTML
廃止
<object>
要素で、非推奨のcodebase
属性のサポートを廃止しました。代わりにdata
属性を使用してください (詳しくは Firefox bug 1973900 をご覧ください)。
CSS
@scope
の内部の&
セレクター が、スコープ開始セレクターの詳細度 を継承しないようになりました。 これにより@scope
の内部の&
セレクターは CSS 入れ子 との一貫性が保たれて、予期せぬ詳細度の違いを避けられます (CSS 入れ子と詳細度 をご覧ください) (Firefox bug 1975531)。
JavaScript
変更なし。
API
- URL パターン API を完全にサポートしました。標準化されたパターン構文を使用して、URL のマッチングや解析を行えます (Firefox bug 1731418)。
- Android 版 Firefox で、ファイルとディレクトリー項目 API の
HTMLInputElement.webkitdirectory
(および、これに対応する HTML のwebkitdirectory
属性) およびFile.webkitRelativePath
プロパティを完全にサポートしました。 これにより、<input type="file">
要素がファイルではなくディレクトリーを受け入れるように設定できます (Firefox bug 1973726)。
DOM
Selection.getComposedRanges()
メソッドをサポートしました。シャドウ DOM の境界を超えて、選択されたテキストの範囲を開発者が正確に取得できます。また、Selection
インターフェイスのsetBaseAndExtent()
、collapse()
、extend()
メソッドを、シャドウルートの内部にあるノードを受け入れるように変更しました (Firefox bug 1903870)。Animation.overallProgress
プロパティをサポートしました。アニメーション全体の進捗を開発者が追跡および表示できます (Firefox bug 1834878)。Animation.commitStyles()
メソッドで、アニメーション終了後の計算済みスタイルをコミットするために、アニメーションにfill
を設定する必要がなくなりました。ほかのブラウザーもこの変更をサポートするまで、fill
を設定し続けるべきであることに注意してください (Firefox bug 1973203)。- Prioritized Task Scheduling API をサポートしました。アプリケーションのタスクの優先度を割り当ておよび管理するための標準化された方法を提供します。
サポートしたインターフェイスは
Scheduler
、TaskController
、TaskSignal
、TaskPriorityChangeEvent
(およびprioritychange
イベント) です。また、Window.scheduler
およびWorkerGlobalScope.scheduler
プロパティをサポートしました。Scheduling
インターフェイスとNavigator.scheduling
プロパティは未サポートです (Firefox bug 1966997)。
Media、WebRTC、Web Audio
RTCIceCandidatePairStats
ディクショナリーのcurrentRoundTripTime
、totalRoundTripTime
、responsesReceived
プロパティをサポートしました。これらは現在のラウンドトリップタイム (RTT) や、接続の平均 RTT を計算するために必要な情報を返します (Firefox bug 1371391)。RTCRtpSender
インターフェイスのsetParameters()
およびgetParameters()
メソッドで、それぞれのencoding
で使用する特定のコーデック
の設定および取得をサポートしました。 また、RTCPeerConnection
インターフェイスのaddTransceiver()
メソッドに渡すinit.sendEncodings
配列に、それぞれのエンコード用のcodec
を設定可能になりました (Firefox bug 1894137)。RTCInboundRtpStreamStats
インターフェイスのestimatedPlayoutTimestamp
、framesAssembledFromMultiplePackets
、freezeCount
、jitterBufferMinimumDelay
、jitterBufferTargetDelay
、keyFramesDecoded
、pauseCount
、totalAssemblyTime
、totalFreezesDuration
、totalPausesDuration
プロパティをサポートしました (Firefox bug 1926622)。
WebDriver への適合 (WebDriver BiDi, Marionette)
一般
- WebDriver の機能から FTP プロキシーのサポートを削除しました (Firefox bug 1972670)。
- WebDriver BiDi および WebDriver クラシック (Marionette) で設定したすべての Cookie の有効期限の値を、400 日に制限するように更新しました (Firefox bug 1974394)。
WebDriver BiDi
- クライアントが JavaScript API でロケールをオーバーライドするための新しいコマンドである
emulation.setLocaleOverride
を実装しました (Firefox bug 1968952)。 browsingContext.createUserContext
によるプロキシー設定を改良しました:noProxy
プロパティで.mozilla.org
のようなホストパターンをサポートしました (Firefox bug 1977180)。また、HTTP プロキシーを設定するときに HTTPS URL へのナビゲーションが許可されない不具合を修正しました (Firefox bug 1977168)。browsingContext.close
コマンドでタブを閉じることによりbrowsingContext.print
コマンドが中断された後に、browsingContext.create
が失敗する場合がある不具合を修正しました (Firefox bug 1841125)。- ネットワーク傍受によりブロックされたすべてのリクエストを再開するように、
session.end
コマンドを更新しました (Firefox bug 1974426)。
Marionette
- 対象の Cookie が
sameSite=none
およびsecure=false
属性を持っている場合にエラーを発生させるように、WebDriver:AddCookie
コマンドを更新しました (Firefox bug 1977205)。 unexpected alert open
のエラーメッセージから、ダイアログのテキストの値を削除しました。data
フィールドを通してダイアログのテキストを使用可能になったためです (Firefox bug 1948236)。
アドオン開発者向けの変更点一覧
cookies.set()
で作成した Cookie が Nightly 版で検証されるようになり、無効な Cookie は拒否されます。Nightly 版の実装は、何らかの問題に対して監視を可能にするためです。将来のリリースでは、すべてのチャンネルで検証を強制する予定です (Firefox bug 1976197)。- 拡張機能の動作に影響を与えるユーザー指定の設定変更をリッスンする、
browserAction.onUserSettingsChanged
およびaction.onUserSettingsChanged
イベントを追加しました (Firefox bug 1828220)。
実験的なウェブ機能
-
anchor-size()
(Nightly):layout.css.anchor-positioning.enabled
CSS の
anchor-size()
関数は、アンカー配置要素の寸法、位置、アンカー要素の寸法に対するマージンを設定できます (Firefox bug 1972610)。 -
:heading
および:heading()
:layout.css.heading-selector.enabled
CSS の
:heading
擬似クラスはすべての 見出し要素 (<h1>
-<h6>
) へ、個々の要素を対象にするのではなく一度にスタイルを設定できます。:heading()
関数擬似クラスは、<An+B>
表記にマッチする見出し要素にスタイルを設定できます (Firefox bug 1974386)。 -
view-transition-name: match-element
(Nightly):dom.viewTransitions.enabled
CSS の
view-transition-name
プロパティの値match-element
は、それぞれの選択された要素に個別の名前をつける代わりに、一意な内部のview-transition-name
を 自動的 に割り当てます (Firefox bug 1956141)。 -
スクリプト向けの
Integrity-Policy
およびIntegrity-Policy-Report-Only
(Nightly):security.integrity_policy.enabled
Integrity-Policy
およびIntegrity-Policy-Report-Only
HTTP ヘッダーを、スクリプトリソース向けにサポートしました。これらはそれぞれ、ウェブサイトがスクリプトの サブリソース完全性の保証 を強制する、またはポリシー違反の報告のみ行うことができます (Firefox bug 1976656)。 -
スタイルシート向けの
Integrity-Policy
およびIntegrity-Policy-Report-Only
:security.integrity_policy.stylesheet.enabled
Integrity-Policy
およびIntegrity-Policy-Report-Only
HTTP ヘッダーを、スタイルシートリソース向けにサポートしました。これらはそれぞれ、ウェブサイトがサブリソース完全性の保証を強制する、またはポリシー違反の報告のみ行うことができます (Firefox bug 1974247)。
以下の機能は Firefox 142 で導入しましたが、デフォルトで無効です。
これらを実験するには、about:config
ページで適切な設定項目を検索して true
に設定してください。
実験的機能 のページで、さらに多くの機能を確認できます。